Entries from 2019-03-01 to 1 month

笑う門には福来たる

「笑う門には福来たる」。「病気」は「気の病い」と書きます。つまらないことで悩んでいるよりも笑って人生送れば自然と福も来るし、病いにも掛かりにくくなるのではないでしょうか。 かくいう私も「極楽とんぼ」というあだ名のつくくらい生来楽観的な性格で…

本来の教えから逆行する日本仏教

仏教本来の教えとは、物事に執着しない、こだわらないことです。そういう何事にもとらわれない、動じない精神状態の最高峰が、お釈迦様の悟りということになります。難しい言葉でいうと「一切空」の教えであります。 ところが仏典がインドの言葉から中国語に…

お経を読むということの意味

ネパール・カトマンズにあるボダナート仏塔 ネパールに行った時のことを思い出します。カトマンズにあるボダナートに描かれた仏眼、口はありません。なぜ口がないのかというと、ブッダはその教えを既に私たちに伝え残したからだそうです。どのようにして私た…

ナーガールジュナについて(その2)

龍樹菩薩伝2 大龍菩薩の導きにより空の義を悟ったナーガールジュナは、南インドに送り返された後、そこで大いに仏教を弘めて外道を論破し、広く大乗の教えを明らかにして、その教えを説明する十万の詩句をつくり、また「荘厳仏道論」の五千の詩句、「大慈方…

ナーガールジュナについて(その1)

その昔、2世紀ごろ南インドに生まれたナーガールジュナという人がおりました。この人の名は4〜5世紀に中国で訳経にあたったクマラジーヴァ(鳩摩羅什=くまらじゅう)という(現在でいうウイグル人ですが)人が漢訳して主に東アジアでは龍樹(りゅうじゅ…

元品の無明を切る大利剣

仏法の真髄は永遠普遍の真理を理解し体得することであります。その永遠普遍の真理とは徹頭徹尾冷たいものであります。まるで鋭利な日本刀のようで、刃筋を立てて切ればスパッと切れますし、少しでもそれがずれようものなら何も切れません。要するにそこには…

良質の「成長」に必要なもの

口を開けば「成長、成長」と、より一層の経済成長を促す声は、ここ日本ばかりでなく世界中で聞かれる声である。確かにこの世界には今だ発展途上にあって大きな成長が見込まれる国や地域が多くある。また一方で、成長しきっているのに周りにあるその恩恵に満…

戒名(法名)について

戒名(法名)とは元来仏門に入った人に授けられる出家者としての名前である。 その起源は、仏法僧侶が葬儀を行うようなってからのことである。室町時代に寺領を持たない寺の僧が生活の糧として葬式を始め、いくらかの収入を得たのが現在の仏教寺院による葬式…

超常現象について

1992年頃だったであろうか、当時私は米国ハワイ州ホノルルにあるハワイ日蓮宗別院というお寺で、副主任という立場でお坊さんの仕事をしていた。その日は週に一度の休日だった。仕事の合間に弾いていたギターの弦を買い替えようと、カイムキという街に行った…

法華経における五何法と十如是

これだけはどうしても伝えておかねばならぬので、厄介だけど…、坊さんじゃない人は「なんじゃこれ」みたいな記事ですげど敢えて書きました。 西暦6世紀頃に中国に出現した仏教僧智者大師智顗(ちぎ)は、インドから一度に入って来た多くの仏典の内容をすべて…

批判の方法

物事について理論的に相手を批判するには、相手の考えや意見を正確によく知らなければならない。相手の事をよく理解しないで批判するのは、単なる誹謗中傷である。 紀元2世紀から3世紀頃南インドに出現した、大乗仏教の哲理を確立したといわれているナーガ…

教育における哲学の必要性

2013年12月5日、元南アフリカ共和国大統領であったネルソン・マンデラ氏がこの世を去った。氏は生前特に教育の必要性を説いた。氏の有名な言葉がある。 "Education is the most powerful weapon which you can use to change the world.” 和訳すると、「教育…

般若波羅蜜 ー 智慧の完成

日本でよく読誦される仏教経典の一つに「般若心経」というのがある。般若というと能で使われる般若の面を先ず思い浮かべるが、般若の面とは「嫉妬や恨みの籠る女の顔」の面だそうであるから、元の般若と言う意味からは程遠い。「般若」とは元来サンスクリッ…

日本の経済成長を考える

近年テレビなどで放映されるの経済に関する討論会等でいろいろな話を耳にするが、その大半は「今後日本経済が如何に成長をし、それが持続するか」という観点に則って議論が交わされていることが多い。 我が国日本はその保護的経済機構によって、才能ある僅か…

人権についてー男女平等(Human Rights)

「人権」とは明治初期に生まれた、Human Rightsという西洋語の訳語である。元々日本にはなかった言葉である。それではなぜ人権という言葉がそれまで日本に存在しなかったのか。その理由は、日本文化の根底は仏教思想であり、そこでは人は衆生という大きな言…

輪廻転生について

輪廻転生とはもともとインド人の人生観である。それは飽く迄も人の頭の中で考えられ構築された概念であり、その範疇を超える事はない。一神教の宗教において神という概念が人の頭の中で考え出されたのと同じである。その場合近代の自然科学が発展すればする…

祈りということ

仏法とは真理の探究である。私たち人間の心理状態を絶対客観的に観察し、それを取り巻く環境と、それとの因果関係を分析して、その本質を悟り、涅槃寂静の境地に達するのが、仏法、仏道の目的である。よってそこに元来「祈り」はない。 ところが釈迦牟尼仏陀…

守護と仏法

七仏通誡偈(しちぶつつうかいげ)という経文がある。これは、仏教で釈迦牟尼以前に存在したとされる6人の仏と、釈迦を含む7人の仏(過去七仏)が共通して説いた教えを一つにまとめたとされている偈であり、『法句経(ダンマパダ)』などに収録されている。 …

迷信・妄信から自己を解放する

約2500年前、仏教の祖釈迦牟尼は阿耨多羅三藐三菩提と呼ばれる無上の悟りの境地に達するにあたって、すべての迷信・妄信から自己を解放することに成功した。当時インドにおいて信仰されていた現在のヒンズー教の元となったバラモン教の提唱するカーストの妄…

仏道の真髄を求めて

日本の仏教には宗派というものがある。私は一人の仏教徒として日蓮宗という宗派に属する。何故日蓮宗に属するかというと、勉学や修行の末自主的に日蓮宗を選んで属したかというと正直そうではない。日蓮宗を信奉する家に生まれたからである。要するに寺の息…

初心のための空仮中の三諦

インドから中央アジアを経て中国に仏教が伝わったのは、一説によると紀元67年と言われている。それ以後多くの仏教経典が中国に流れ込んだ。一度に多くの仏典が流入したため、その成立年代や内容的な発展過程が明らかではなかった。6世紀に中国にあらわれた天…

執着ということ

自らを執着から解放することは仏道の最大の目的の一つである。執着から解放されると真の心の自由自在を得ることができる。 私たちは普段いろいろな物事や出来事に執着する。着るものに執着する。食べ物に執着する。住む所に執着する。乗る車に執着したり、持…

こだわらないこと

大乗仏教の根本儀は「空(くう)」の思想です。有名な般若心経などで唱えられている「色即是空、空即是色」の「空」です。勿論、法華経の中にも多く出てきます。「空」の思想はとても深遠なものですが、だからといって理解しなくてもよいというものではあり…