我輩は犬である(シャボン玉とんだ編)

シャボン玉とんだ。屋根までとんだ。 我輩は犬である。名をイチローという。 梅雨の合間の青空の下、むせ返るような暑さの午後の庭で、六つと二つになるご主人様の愛娘が、半分裸になって無邪気にシャボン玉を作ってはしゃいでいる。我輩は見るともなくシャ…

我輩は犬である(観音橋対決編)

「愚か者め…」 我輩は犬である。名をイチローという。 今朝もまたご主人様と近くの森林公園を散歩する。非常に気持ちがいい。森を渡る風は美しい。とは言っても風に色があるわけでも無し、何が美しいかと言えば新緑の木々の葉をそよぐ音も、揺れる木の葉も、…

人生は執着しなければ生きられない!?

執着の泥沼に美しく咲く空の蓮華 仏教の根本的な思想は物事に捉われない、執着しないという事です。何もかもに執着することがなくなった時、心は大宇宙に解き放たれ真の自由を得る…、ということを以前書きましたが、さてそれが真実であるかどうか甚だ心配に…

小生は子猫である

おかあさん、早く迎えに来て… 小生は子猫である。まだ生まれたばかりである。しかしながらどうやら母親とはぐれてしまったようだ。この森林公園の片隅で、共に生まれた兄弟姉妹たちと息を潜めているように言ったきり帰らぬ母猫を待っていると、大きな黒いカ…

日本の仏教は執着のかたまり?

あらゆる執着をなくした瞬間、心は大宇宙に解き放たれる。 仏教の究極の目的は執着をなくすことです。全ての物や現象に対する執着から離れて心の自由を得ることが究極の目的なのです。何たって生きてることや死ぬことに対する執着もなくせっていうんですから…

我輩は犬である

今日の散歩はいろんなことがあって疲れたな〜。。。 我輩は犬である。名前はイチローという。ご主人様が勝手に付けた名前だがこれといって不満もないし、自分の気に入った名前も別段思いつかないので、それでよしとしている。何でもご主人様が大好きな野球選…

ブッダの10の肩書き

ネパールのブッダ 肩書きがなくとも魅力ある人間になりたいということを前回書きました。 ところがブッダにも肩書きがあったのです。しかも10もの肩書です。しかしそれはどこどこの組織や団体の長だとかというようなつまらないものではなく、ブッダの真の徳…

肩書きのない生き方

前衛芸術家 篠田桃紅 篠田桃紅という日本を代表する水墨による抽象画を書く芸術家がいます。現在106歳です。43歳の時、単身ニューヨークに渡り、その作品は世界的に評価され有名になりました。当初日本ではあまり有名ではありませんでしたが、その後、水墨が…

須弥山思想って?

新潟県と長野県の境にある妙高山ー妙高山とは須弥山のことです。 須弥山(しゅみせん)思想とは古代インドの宇宙観です。 この宇宙観を知っていると、普段私達が使っている日本語がより深く理解できます。 例えば、「有頂天になる」とか、「金輪際会いたくな…

フェンタニル戦争?

昨今のアメリカ合衆国内において、薬物の蔓延が大いなる社会問題となっているようです。 「世界で薬物の直接的な影響による死者は、2015年で約17万人。そのうち最多の死者を出しているのが米国だ。17年に史上最多の7万人以上が過剰摂取で亡くなった。特に深…

選挙、選挙、そして選挙

統一地方選挙なるものが始まり、私の住む所でも選挙カーが引っ切り無しに来襲しうんざりしています。なんせこの度は市議会議員選挙ですから、市長選などと違って候補者の数が多い、その分やって来る選挙カーも多いわけです。 どうしてうんざりしているかと言…

現代インドにおける仏教(2)

布施を受けるインド新仏教徒の僧侶達(龍宮寺において) さて、前回は現代インドの仏教を語る上で欠かせない人物、アンベドカール氏について少しく書きました。氏は1956年10月、インド中央部のデカン高原に位置するナグプールに於いて50万人と云われる不可触…

現代インドにおける仏教(1)

1999年落慶直後の龍宮寺(カンプティ) 現在インドにおける仏教徒人口は2001年国勢調査で640万人、インド人口全体の0.8%といわれています。30年も前の調査なので現在はもっと増加しているでしょう。現地の状況に鑑みて、私個人では現在2,000万人程は仏教徒で…

シンガポール

シンガポールに行ってきました。 シンガポールの銀座通りと言われているオーチャードロード 過去に仕事(モンキービジネス=Monkey {Monky} Business)で何度か行ったことがありましたが、シンガポールという所は東京のような大都会で面白みもあまりないとタ…

量子論と仏法(2)

量子論の本の読み返しを終えました。やはり難解で正確に理解できたかどうかは甚だ疑問ですが、それでも「量子論を利用できる人はたくさんいるが、量子論を理解している人は1人もいないだろう」とその本の中に書かれていたので、理解できないのは私だけでは…

量子論と仏法(1)

量子論のことを少し書いたら反応があったので、知識をリフレッシュしようと量子論について再度調べて見ました。佐藤勝彦さんという東大大学院の教授が著した「『量子論』を楽しむ本」(2012年)という、かつて読んだけれど殆ど内容を忘れてしまった本を読み…

笑う門には福来たる

「笑う門には福来たる」。「病気」は「気の病い」と書きます。つまらないことで悩んでいるよりも笑って人生送れば自然と福も来るし、病いにも掛かりにくくなるのではないでしょうか。 かくいう私も「極楽とんぼ」というあだ名のつくくらい生来楽観的な性格で…

本来の教えから逆行する日本仏教

仏教本来の教えとは、物事に執着しない、こだわらないことです。そういう何事にもとらわれない、動じない精神状態の最高峰が、お釈迦様の悟りということになります。難しい言葉でいうと「一切空」の教えであります。 ところが仏典がインドの言葉から中国語に…

お経を読むということの意味

ネパール・カトマンズにあるボダナート仏塔 ネパールに行った時のことを思い出します。カトマンズにあるボダナートに描かれた仏眼、口はありません。なぜ口がないのかというと、ブッダはその教えを既に私たちに伝え残したからだそうです。どのようにして私た…

ナーガールジュナについて(その2)

龍樹菩薩伝2 大龍菩薩の導きにより空の義を悟ったナーガールジュナは、南インドに送り返された後、そこで大いに仏教を弘めて外道を論破し、広く大乗の教えを明らかにして、その教えを説明する十万の詩句をつくり、また「荘厳仏道論」の五千の詩句、「大慈方…

ナーガールジュナについて(その1)

その昔、2世紀ごろ南インドに生まれたナーガールジュナという人がおりました。この人の名は4〜5世紀に中国で訳経にあたったクマラジーヴァ(鳩摩羅什=くまらじゅう)という(現在でいうウイグル人ですが)人が漢訳して主に東アジアでは龍樹(りゅうじゅ…

元品の無明を切る大利剣

仏法の真髄は永遠普遍の真理を理解し体得することであります。その永遠普遍の真理とは徹頭徹尾冷たいものであります。まるで鋭利な日本刀のようで、刃筋を立てて切ればスパッと切れますし、少しでもそれがずれようものなら何も切れません。要するにそこには…

良質の「成長」に必要なもの

口を開けば「成長、成長」と、より一層の経済成長を促す声は、ここ日本ばかりでなく世界中で聞かれる声である。確かにこの世界には今だ発展途上にあって大きな成長が見込まれる国や地域が多くある。また一方で、成長しきっているのに周りにあるその恩恵に満…

戒名(法名)について

戒名(法名)とは元来仏門に入った人に授けられる出家者としての名前である。 その起源は、仏法僧侶が葬儀を行うようなってからのことである。室町時代に寺領を持たない寺の僧が生活の糧として葬式を始め、いくらかの収入を得たのが現在の仏教寺院による葬式…

超常現象について

1992年頃だったであろうか、当時私は米国ハワイ州ホノルルにあるハワイ日蓮宗別院というお寺で、副主任という立場でお坊さんの仕事をしていた。その日は週に一度の休日だった。仕事の合間に弾いていたギターの弦を買い替えようと、カイムキという街に行った…

法華経における五何法と十如是

これだけはどうしても伝えておかねばならぬので、厄介だけど…、坊さんじゃない人は「なんじゃこれ」みたいな記事ですげど敢えて書きました。 西暦6世紀頃に中国に出現した仏教僧智者大師智顗(ちぎ)は、インドから一度に入って来た多くの仏典の内容をすべて…

批判の方法

物事について理論的に相手を批判するには、相手の考えや意見を正確によく知らなければならない。相手の事をよく理解しないで批判するのは、単なる誹謗中傷である。 紀元2世紀から3世紀頃南インドに出現した、大乗仏教の哲理を確立したといわれているナーガ…

教育における哲学の必要性

2013年12月5日、元南アフリカ共和国大統領であったネルソン・マンデラ氏がこの世を去った。氏は生前特に教育の必要性を説いた。氏の有名な言葉がある。 "Education is the most powerful weapon which you can use to change the world.” 和訳すると、「教育…

般若波羅蜜 ー 智慧の完成

日本でよく読誦される仏教経典の一つに「般若心経」というのがある。般若というと能で使われる般若の面を先ず思い浮かべるが、般若の面とは「嫉妬や恨みの籠る女の顔」の面だそうであるから、元の般若と言う意味からは程遠い。「般若」とは元来サンスクリッ…

日本の経済成長を考える

近年テレビなどで放映されるの経済に関する討論会等でいろいろな話を耳にするが、その大半は「今後日本経済が如何に成長をし、それが持続するか」という観点に則って議論が交わされていることが多い。 我が国日本はその保護的経済機構によって、才能ある僅か…