日本の経済成長を考える

 近年テレビなどで放映されるの経済に関する討論会等でいろいろな話を耳にするが、その大半は「今後日本経済が如何に成長をし、それが持続するか」という観点に則って議論が交わされていることが多い。
 我が国日本はその保護的経済機構によって、才能ある僅かな人々が経済的に自由に活躍をする機会を抑えてしまうという欠点の一方で、万人が個々の能力に拘らず経済発展の恩恵を受けられるようにするという、今風に言えば貧富の格差を広げないようにする努力が為されてきた。一般的な議論に耳を傾けていると、どうも全体の方向性としては米国に影響を受けての風潮か、大きな機構改革を行い既存の規定を取っ払い、才能ある極一部(本人たちは決して’’極一部’’とは言わないが)の人々が自由に経済活動を通じて活躍できるようにするという方に向かっているように思える。それはそれで社会全体の将来性や発展性に鑑みて非常に重要ではあるが、そのまま皆の言う通りに進んだら日本も欧米諸国のように貧富の差が大きくなり、一部の大金持ちと大多数の貧民に国民が階層として隔絶されるような気がする。そもそも、現在の阿部総理大臣をはじめとした人々の口から出る限りなき「成長、成長」の大合唱は、どんな根拠を持って叫ばれるのであろうか。
 我が国日本は外から見ても非常に恵まれた国であることは間違いない。世界をとある住宅地に譬えると、日本という家は小さいながらも(島国)立派な、しかもその住宅地では類を見ない安全性、衛生管理それに電気製品などハイテクを備えた家を構え、所有する車は世界一高性能(トヨタ等)、家族の教養程度もお行儀の良さもご近所で評判のトップレベル、経済的にも他に比べ断然裕福な家に例えられる。家の主人は少し小柄でけんかは決して強くはないがいつも護ってくれるその住宅地で一番立派な家に住む大富豪の友人とも良好な交友関係を保っている。世間的に見れば十分幸福な家であり、ご近所から言わせるとこれ以上何を望むかという程であるが、家族会議を開くと常に「もっと裕福になろう」と皆が力拳を合わせて誓い合う。全くの灯台下暗しである。
 皆が口を揃えて「前を向いて…」と言うが、後ろを見たり周りを見回したりする事も大事である。今の日本人はまるで周りが見えていない。物質的に満ち足りすぎて自らが幸福である事にも気付かない。上を見ればキリがないが、もう十分幸せなのである。法華経の中にも、人は限りなき「貪欲(とんよく)を以て苦の本とする」とある。
 戦後の荒廃から70年経った今、その当時では想像もできない程裕福な生活をしている私たちは、今こそ現今の発展のために貢献した先人に感謝するとともに、未来に向かって前も後ろも周りもよく見回し、西洋化でもなく個人主義の仮面を被った利己主義でもなく、団体主義で個々の才能を無理矢理押し込めるのでもなく、極端に偏らず中道に立ちうまく調和を保つ真の精神の幸福とは何かを誰よりも早く体現し、世界にその範を示すべきではなかろうか。

堅い話もいいけど、あとはリラックス…

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