フェンタニル戦争?

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昨今のアメリカ合衆国内において、薬物の蔓延が大いなる社会問題となっているようです。

「世界で薬物の直接的な影響による死者は、2015年で約17万人。そのうち最多の死者を出しているのが米国だ。17年に史上最多の7万人以上が過剰摂取で亡くなった。特に深刻なのが、オピオイド(麻薬系鎮痛剤)などの広がりだ。トランプ大統領の支持が根強いラストベルト(さびついた工業地帯)を歩くと、まったく別の深刻な薬物蔓延の光景が広がっていた。」

医師がオピオイドを過剰に処方し、蔓延していったのだそうです。主な薬物依存者は白人で、ある程度社会的地位があった人々だそうです。薬物蔓延の背景に透けて見えるのが、人々の経済的な「痛み」です。そう貧困が薬物蔓延を促しているのです。

それに輪をかけて最近ではフェンタニルという鎮痛剤が流行しているそうです。フェンタニルとは合成オピオイドの一種で、モルヒネの50~100倍強力なんだそうです。何しろ安価で手に入りやすい。よってその使用量は年々増加の一途を辿っています。

このフェンタニルの主な供給源とされるのが、中国だそうです。

えっ?私はここで過去に起こった中国のアヘン戦争を思い出しました。

当時、清の国から絹やお茶を大量に輸入していた英国は、清に買ってもらうものが少なく大きな貿易赤字を抱えていたそうです。そこでインドで採れたアヘンを清に流し利益を得始めました。清の国が再三に渡って禁止してもそれは止まらなかったそうです。理由としては当時の清の経済発展による人口増加から格差社会が生まれ、貧困層が増加、貧困に喘ぐ多くの人々がアヘン依存者となりました。アヘンの受け入れを拒む清との間に、英国は戦争を起こしました。そして圧倒的な勝利の末、強引に不平等条約の締結に至り、欧米列強はそれに追従して英国と同じような不平等条約を清と結びました。アヘンで清を駄目にしてしまったんですね。

そして今、アメリカ人が中国から供給される安価で手に入りやすい薬物、フェンタニルによって薬物依存者蔓延の危機に直面しているのです。

両者の共通点は貧困が原因で薬物蔓延が起きている点です。

世界情勢の現状に鑑みると、将来的に米中間の戦争には発展しないでしょうが、何か因縁を感じ得ずにいられません。