現代インドにおける仏教(1)

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1999年落慶直後の龍宮寺(カンプティ)

現在インドにおける仏教徒人口は2001年国勢調査で640万人、インド人口全体の0.8%といわれています。30年も前の調査なので現在はもっと増加しているでしょう。現地の状況に鑑みて、私個人では現在2,000万人程は仏教徒ではないかと推測しています。ベンガル地方に部派仏教の流れが細々と存在しているようですが、殆ど形骸化しているようです。それではその640万人とか2,000万人という数字はどこからきたものでしょうか?

その殆どはインド中央部デカン高原を含むマハラシュトラ州に住む人々です。主に州の第二首都であるナグプールと首都のムンバイ周辺で仏教が信仰されています。

仏教徒の信仰形態は部派仏教でも大乗仏教でもなく、敢えて言えば原始仏教の形態、つまりは釈迦在世当時の仏教を目指して信仰しています。しかしながら現代インドの仏教徒は彼等の信仰の方向性をはっきりと見出せずにいるのが実情です。その理由を以下に書き記します。

それはどうして彼等が仏教徒になったかということから始まります。

1891年インド・マディアプラデーシュ州(ムンバイを首都とするマハラシュトラ州の北隣の州)マウーというところで、ビームラーオ・アンベードカルという人物が生まれました。彼はカースト最下層の出身でありましたが、学問に秀でてその才能を当時の藩王に認められ、奨学金を得てインドの大学、米国ニューヨークのコロンビア大学、更にはロンドン大学等で学び、弁護士としてその一生を不可触賎民に対する差別撤廃に捧げた人です。インド独立時には法相として憲法の草案に関わり、その殆どが氏の草案によるものでした。元来ヒンズー教徒でしたが、カーストの差別を嫌いヒンズー教から改宗することを決心し、キリスト教やイスラム教などへの改宗を考えましたが、遂に仏教に至りその決意を固めます。

1956年10月マハラシュトラ州の第二首都であるナグプールという所で、他の50万人と言われる不可触選民の人々と共に仏教の戒を受け改宗します。以来その人々は新仏教徒と呼ばれ徐々に共感を集め現在に至りました。

これが現在のインドにおける仏教徒人口がこれほどまである所以でした。

さて、現代インド仏教における話はこれからが本番です。

 

しかしながらあまり長いと読む気も失せるでしょうから、この続きは明日書くこととします。それでは…おやすみなさい。

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